"愛するあなたへ[1]"
「ちゃんゆりの日頃の意味不明な身体の動きの理由が、やっとわかったよ!」
「あー!すごくスッキリした!!」
あなたがその目の中に星を瞬かせて話してくれたのは1年前だったでしょうか
初めて2人一緒にバレエの舞台を見た帰り道でしたね
「ダンサーって投げ飛ばし合うんだな!」と言ったのはあなた
「そう解釈したか!」と返したのはわたくし
バレリーナを目指していたわたくしの青春時代
男性のいないお教室
同級生や背の高い後輩に宙に飛ばしてもらっては
確かにわたくし喜んでいた
26歳であなたと結婚して何年経ったでしょう
わたくしはあなたと一緒に毎日踊りたい
でもあなたは踊りが嫌いですね
「踊っているちゃんゆりは生き生きしている、踊っている君が好きだ」と言ってくれつつ
「僕は踊れない、僕は踊れないんだ」と
確かに無理やり一緒に踊ってもらうたび
サガンのセリフが頭に思い浮かんでしまう
『あなたのは散歩だわ、踊ってるんじゃなくて』
薄情な妻でごめんなさい
それでも日々わたくしを抱えて
宙で回したりソファに投げ込んだり
歩いている最中に手を回して浮かせてくれたりと
努力を続けてくれている年上のあなたには
なんとこの心の内申し上げたらいいか
ただただメルシー、メルシー、愛してると
近所のお花屋さんに28歳だと思われていたあなたも
実は40歳
身体にだけは気をつけてお過ごしくださいましね
重たいものは無理して持たないことです
せんじつ、わたくしごとですが、結婚記念日を迎えましたエヘヘノヘ♡
*サガン『ブラームスはお好き』
BISOUS, YURIKA
イヤリングデザイナーゆり香
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